乳牛へのジンプロ・ミネラル給与による体細胞数の低下と乳房炎の減少
アダム・ガイガー博士
ジンプロコーポレーション
乳牛の生産性と乳質を見る時に、体細胞数が1つの指標となります。体細胞数が上がると、乳量と乳質が低下します。実際に乳業メーカーでは、体細胞数がある基準点を下回らない限り、その農場の生乳を受け入れない場合もあります。
体細胞数が高いということは、乳腺内で炎症反応が日常的に引き起こされていることを示しています。乳牛において体細胞数が高い原因としてよく見られるのは、乳房炎への感染です。乳房炎は環境中の細菌や、乳牛から乳牛への水平感染によって起こります。
乳房炎を含め、乳牛の体内でどのような形であれ、炎症反応が起こっている時には、栄養素とエネルギーが燃料として用いられます(1日およそ2kgのグルコース)。つまり、乳生産に用いるための栄養素が少なくなってしまい、乳量が低下してしまいます。また、乳腺内で感染と戦う免疫細胞も、乳中に発現してしまいます。その結果、生乳の風味と色味が変化し、乳質も低下してしまう可能性があります。
乳房炎の原因菌から乳牛を守る最良の方法は飼養管理にありますが、同時に、原因菌は常に牛舎内に存在することを忘れてはいけません。農場における栄養給与プログラムに、ジンプロ社の亜鉛を取り入れることで、乳牛における乳房炎の発生数と重症度合いを低下させるだけでなく、体細胞数の低下と高品質の生乳生産に寄与することが期待されます。
乳房炎と体細胞数:どのように関係しているのか?
乳房炎と高い体細胞数は、鶏と卵のような関係です。どちらも独立して起こりますが、同時に片方がもう一方を引き起こす場合もあります。
乳牛が乳房炎に罹患すると、炎症が起きて上皮組織を損傷させ、白血球が乳腺に侵攻し、それが体細胞数を上げる原因になります。同様に暑熱といった、それ以外のストレス要因に乳牛が晒されている場合にも、炎症が乳房炎発生の原因となってしまいます。
乳房炎コントロールのための、ジンプロ・ミネラル給与と併せた、環境からのアプローチ
乳房炎と体細胞数の増加という結果は、大腸菌などの環境中の細菌そのものによる感染や、黄色ブドウ球菌のような伝染性の細菌が乳牛から乳牛に伝播することによって起こります。搾乳担当者が同じタオルで複数の乳牛の乳頭を清拭したり、グローブを着けていなかったり、搾乳機器の洗浄に不備がある場合、乳牛から乳牛へ伝染性の乳房炎が広まる危険性が高まります。
これらの乳房炎原因菌を、環境中から拾ってしまうにせよ、乳牛から乳牛に伝染したにせよ、侵入経路は同じで、乳頭口を介します。
乳房炎原因菌が乳腺組織を損傷させ、乳房炎を引き起こすことを防ぐ2つの防御層が存在します。それは乳腺の開放部の入り口のすぐ内側にある乳頭ケラチンと、内部にある上皮組織です。
乳頭ケラチンは、乳房の外側で、乳腺内に原因菌が侵入することを防ぐために蓋をしています。この部位は殺菌作用を有しており、細菌が乳腺内に侵入しようとする際に、細菌を殺すことができます。
乳腺の内側にある上皮組織の構造は、体のその他の組織に存在するものと、ほぼ同じです。それぞれの上皮細胞は、タイトジャンクションと呼ばれる複雑なタンパク質構造によって“繋ぎ合わされ”たり、“縫い合わされ”たりしています。上皮組織は常に修復され、入れ替えられており、乳房炎のような疾病の原因菌の侵入を防ぐために、タイトジャンクションの健全性は常に維持されています。
病原菌が乳頭ケラチンを通過してしまったとしても、内部の上皮組織が強固に結束し、免疫細胞が到着して感染と戦うまでの間、感染を防いでいます。
乳房炎予防と体細胞数を低下させるための亜鉛給与
亜鉛は300を超える酵素機能に関与しており、免疫機能を高めるために必須の栄養素です。亜鉛は乳頭ケラチンを含めて、ケラチン合成のための重要な役割を担っています。乳腺は体の外に対する第一防御層です。さらに、内部の上皮組織の健全性維持のためにも、亜鉛はとても大切です。従って、もし病原菌が乳頭ケラチンを通過してしまったとしても、上皮組織によるバリアによって、ダメージを最小限に抑えることが期待されます。農場において、飼料にジンプロ・ミネラルを添加することで、乳頭口のケラチン合成を増やして病原菌が乳腺に侵入することを抑えます。ジンプロ・ミネラル給与によって、1日当たりで乳頭ケラチンを数mg多く合成出来ることが試験から判明しています。
乾乳期からアベイラ4の給与を開始することで、泌乳期の体細胞数が30,000低下することが期待されます。これは、乳量が1%回復するのに相当します。農場の飼料設計にジンプロ・ミネラルを取り入れることは、病原菌にとって、乳頭ケラチンを通過して乳腺に侵入することがより困難になることを意味しています。全ての細菌の侵入を止めることが出来るものは存在しません。しかし、強固なタイトジャンクションを有する上皮組織が、病原菌に対する最初の防御層として存在します。従って、体の内側で上皮組織のバリアの強度を上げる栄養的な解決策を用いることは、たとえ病原菌が乳頭ケラチンを通過したとしても、免疫細胞が病原菌を退治するまでの間、体を守るということになります。
ジンプロ・ミネラルの給与方法については、弊社営業担当にお問い合わせください。