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乳量と繁殖成績向上のための移行期牛管理のポイント

乳量と繁殖成績向上のための移行期牛管理のポイント

フー・マッコニー博士

ジンプロコーポレーション

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周産期は乳牛にとって非常に重要なステージであると同時に、健康を損なう危険性が高いステージです。この間、乳牛の体内では、泌乳期へと移行し乳生産を開始するという大きな代謝的な変化が起きています。さらに、次の妊娠に備えて卵母細胞が成長するだけでなく、分娩で傷ついた生殖器の回復も行わなければいけません。

移行期牛管理の目標は、分娩日に向かって乾物摂取量を可能な限り高めることと、周産期における飼料摂取量の低下を最低限に抑えることです。エネルギー摂取量のコントロールも同様に重要で、多すぎても少なすぎてもいけません。さらに、ストレスをできる限り与えないようにしなければいけません。ストレスは代謝に負の影響を与えて炎症を引き起こし、肝臓におけるグルコースの生成能力を落としてしまいます。過剰な炎症は本来乳生産に用いられるべき栄養素を奪ってしまいます。

大切なことはシンプルで、安定的した飼料の給与と、十分な飼槽スペース、休息スペースを与えることです。

 

乳生産のために最適なエネルギー摂取

栄養素が体内で使われる優先順位は、牛体維持がまず最初で、乳生産がそれに続きます。負のエネルギーバランスに陥っている牛は、高乳生産のために自身で蓄積している脂肪を用います。この結果、ボディコンディションが低下し、将来の繁殖性が犠牲となり、泌乳持続性も悪化します。農場の経済性を考えた時に、泌乳持続性は非常に重要です。

牛の体脂肪蓄積量はある程度しかないために、体脂肪を瞬時に燃やし尽くしてしまい、さらに乾物摂取量の低下が重なると、エネルギーが足りなくなって高泌乳量の維持が出来なくなります。もし飼料摂取量が十分であり、ボディコンディションスコアの低下が抑えられれば、ピーク乳量は下がるかもしれませんが、泌乳期全体を通した泌乳持続性に優れる結果となるでしょう。

泌乳初期における重要な栄養素は、具体的には主にスターチと、消化性の高い粗飼料からもたらされるグルコースといったエネルギーです。この期間ではバランスが重要で、スターチを早期に給与しすぎるとアシドーシスの危険性が高まり、全身での炎症を引き起こしてしまいます。農場においては、クロースアップ飼料から高泌乳飼料への移行時には、ルーメンが慣れていけるように非繊維性炭水化物(NFC)を徐々に増やしていく方が安全です。

また、分娩後には脂肪の給与量も制限することが大切です。脂肪は肝臓で処理されることから、分娩後初期に脂肪を給与し過ぎると、肝臓におけるグルコース生成の能力が低下し、負のエネルギーバランスに陥る期間が長くなってしまいます。

 

周産期でのエネルギーの蓄積量を増やすことが、後の繁殖改善に繋がる

周産期において健康的なボディコンディションを維持し、飼料摂取量を高く保つことは、乳生産だけでなく、次の授精サイクルにおける繁殖性にも影響を与えます。

高乳生産のために重度のグルコース欠乏に陥ったり、過度の体脂肪動員を行なった牛では、卵巣内で成長する卵母細胞の品質に直接的な影響が及ぼされます。従って、重度の負のエネルギーバランスを経験した牛は、その泌乳期において望ましい時期における妊娠は難しいか、もしくは妊娠できない結果となる可能性があります。健康的に周産期を過ごした牛はこういった問題を避けられますが、移行期に問題があった牛は、自発的待機期間(VWP)の調整を検討しましょう。

VWP(分娩から授精開始と判断するまでの期間)は一般的に50〜70日間程度とされています。移行期牛を、問題があった牛と、健康的に移行期を過ごした牛の2種類に分けて考えてみてください。周産期にボディコンディションの著しい減少や跛行、それ以外のものも含めて問題があった牛は、VWPを長く設定する必要があるかもしれません。こうすることで、牛にエネルギー蓄積量を高めるだけの時間を与え、妊娠の可能性を高めます。

 

移行期牛管理の6つのポイント

移行期牛管理は非常に複雑であるわけではありませんが、多くの農場でミスが見られることがあります。分娩後の乳生産量を高め、繁殖成績を改善する上で、次の移行期牛管理の6つのポイントを考えてみてください:

  1. 十分な飼槽スペースを与えてください。分娩前後の飼料、エネルギー摂取量を高めるためには、最低でも1頭当り76cmの飼槽スペースが必要です。スタンチョンを備えた牛舎である場合、移行期牛群においては典型的なサイズのスタンチョン数全体の80%までしか1度に使用することはありません。従って、飼養頭数以上のスタンチョンが必要です。大型の妊娠牛向けの、76〜90cmの広さの両開きスタンチョンを導入することも選択肢の1つです。
  1. 可能であれば“ジャストインタイム法”で分娩管理を行ってください。“ジャストインタイム法”は、1時間ごとに乾乳牛群に足を運び、分娩兆候を見つけたらすぐに牛を分娩房に移動させる方法です。もしフリーストールで飼養していて、毎時間乾乳牛群を観察するのが難しい場合は、分娩の2日前以内か、7日以上前に牛を分娩房に移動するようにしましょう。もし分娩の2〜7日前の間に移動してしまった場合、乾物摂取量が低下してしまいます。
     
  2. 社会性が安定した状態を維持してください。牛を群移動した場合、牛はストレスを受けます。現在、乾乳牛群管理で最も望ましいとされているのは、周産期において社会性が安定している“オールイン・オールアウト型”もしくは“シーケンシャルフィル(スライド)型”です。分娩予定日を1週間単位で分け、同週に分娩予定の牛たちを1群に集めて、分娩前に21日以上同居させます。一度牛群を固定したら、そのままで新たな牛の移動などをせずに分娩まで過ごさせます。これらの方法では、新たに牛が入り込むことがないので社会性が非常に安定し、乾物摂取量の安定とストレスの低減に好影響を与えます。
     
  3. 長時間横臥させてください。分娩前後の牛には、最大級に快適な環境を提供しなければいけません。移行期は蹄の角質や内部構造が損傷しやすく、これが泌乳期における炎症や跛行を引き起こす原因となるため、移行期牛は可能な限り長い時間横臥させるようにしてあげてください。
     
  4. 積極的な暑熱対策を行ってください。暑熱ストレスに苛まれた移行期牛は周産期疾病に罹患しやすく、泌乳期における乳量が減少してしまいます。休息スペース上に時速8km以上の風が当たるように換気扇を設置し、牛体を水で濡らすソーカーシステムや地域によってはミストを用いて、効果的な牛体冷却を行ってください。牛体を冷やしてあげることで、牛も横臥するようになります。暑熱ストレスを受けている牛は、体温を下げるために起立時間が延長します。このようなストレスが増えると飼料摂取量が減少し、跛行の危険性も高まります。
     
  5. 跛行と趾皮膚炎をコントロールしてください。乾乳の1ヶ月前と乾乳時に挙肢し、蹄を整えることをお奨めします。蹄に問題がないかを複数回確認することで、跛行した状態で分娩に向かうことがないように出来ます。さらに、乾乳期中も趾皮膚炎低減のために蹄浴を行い、乾乳牛群の衛生状態の維持を意識しましょう。

 

移行期の成功のためのジンプロ・ミネラル

アベイラ4アベイラプラスといったジンプロ・ミネラルの給与は、移行期牛が急速かつ強固に炎症に立ち向かい、より多くのエネルギーと栄養素を乳生産と繁殖活動に充てるのに役立ちます。ジンプロ・ミネラルの給与により、周産期疾病の発生率の低減が認められており、健康的な移行期牛でも、問題のある移行期牛でも、双方における繁殖成績の向上が期待出来ます。無機微量ミネラルと異なり、ジンプロ・ミネラルはアミノ酸輸送体を通過して吸収されます。また、拮抗物質の吸収阻害作用を受け難く、小腸に到達して適切に吸収され、牛の遺伝的能力を最大限発揮させるサポートをします。詳しくはこちらの記事をご覧下さい:ジンプロ・ミネラル: 唯一無二の製品​

ジンプロ・ミネラルの詳細と移行期牛の飼料へのジンプロ・ミネラルの給与についてのご質問、ご相談は弊社営業担当者にお問い合わせ下さい。

 

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