リン酸塩の可能性
カイル・ベンター
Chemuniqué社、南アフリカ
原料価格が高騰し、飼料設計における様々な問題が生じていることは皆様ご存知かと思います。鶏の成績を向上させるために必要な数多くの飼料原料の中で、特に高価なものの一つがリン酸塩です。世界的な混乱や輸送の遅延によってリン鉱石の価格が上昇しています。そしてそれが、業界全体における飼料コストの上昇要因の1つとなっています。しかし、リン酸塩は、鶏の成績向上や骨格成長不全予防に必要不可欠な栄養素です。従って、飼料コストを削減するためといって、リン酸塩を抜いてはいけないのです。それでは、記録的なリン酸塩価格の高騰は養鶏飼料に革新をもたらす機会となりうるでしょうか?答えは“Yes”です。効果的な解決策を用いることで、コスト負担を緩和し、動物の生産性と健康の向上を向上させることが出来るでしょう。
フィターゼが生産性の鍵となる
飼料コストを削減する必要がある一方で、必須栄養素を給与し続けることによって、革新的な飼料戦略が確立されました。それが、外因性フィターゼです。
この戦略を活用し、飼料コストを削減するためには私たちは、以下のことが必要と考えています。
- 飼料原料由来のカルシウムとリンの利用率を理解し、最大化させる。
- 生産性と骨の石灰化を最大限に引き出すため、育種会社の推奨値に近い値までカルシウムとリンを配合する。
最も無駄の無いフィターゼの量はフィターゼ、無機リン、可消化カルシウムの価格及びフィターゼによって放出されるリン量によって決まります。現在の経済状況を考慮すると、最適な量は2,000FTU以上と考えられます。
高濃度でフィターゼを給与することで、フィチン酸を素早く加水分解することができ、より多くのミネラルやアミノ酸、エネルギーを利用することが出来ます。飼料中に高濃度でフィターゼを配合している場合は、同等の生産性を得るために必要な高品質の原料が少なくてすむため、他の原料を検討する余地が出来ます。そして、少ない原料で同等の成績を得ることが出来る様になり、飼料費用を削減出来ます。
現在のブロイラーの成長率と成績は昔と比べて大幅に向上しています。そして、それに合わせて現在のブロイラーに必要なミネラル要求量も変化していると私たちは考えています。そこで、飼料中のカルシウムとリン含有量を見直すことがリン鉱石への依存度を下げるために重要な戦略の一つです。そしてその結果、ブロイラー生産における持続可能性を高めることに繋がります。
高濃度のフィターゼ及び最適な量のカルシウムとリンを飼料中に配合することで動物の健康を向上させることに貢献します。鶏はより多くのエネルギーとミネラルを骨の石灰化や骨格の発達に利用します。健全な骨格は高い生産性の基盤となるため、このエネルギー量の増加は非常に重要です。骨格が正しく発達し、成長に追いつくことが出来れば、跛行を抑え、より優れた筋肉を作ることが出来る様になります。更に、育成後期にフィターゼを用いてカルシウムとリンの配合量を減らすことでミネラルの配合量を減らし、水分利用率を向上させることが出来ます。水分の要求量が少なくなることで敷料の状態も改善され、その結果健康なフットパッドに適した環境となり、足の皮膚炎が少なくなります。
健康状態を向上させ、コストを削減するためにフィターゼを給与しましょう
フィターゼ含有量を高めることで、コストを削減しつつ、動物の生産性を向上させることが出来ます。その結果、明確な利益を得ることが出来るでしょう。この方法を用いることで、安全性を確保しながらコストを削減し、動物の健康上の不安を取り除くことが出来る様になります。これらのリン酸塩の可能性は、飼料設計のジレンマを解消することに役立ち、高濃度のフィターゼは飼料コストを削減し、動物の生産性を向上させてくれるでしょう。
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*本記事は、2022年11月に開催されたWatt社主催養鶏オンラインセミナー(ジンプロ社協賛)の講演まとめ記事です。