跛行を早期に発見し、繁殖成績を向上させる。
跛行の早期発見は、牛の日々の健康状態を維持するためだけでなく、繁殖成績の改善と農場の利益向上に寄与します。ある研究によると、胎盤停滞に罹患した牛、乳房炎の牛、卵巣嚢腫の牛と比較して、跛行牛が最も平均空胎日数が長かったと報告されています。
多くの農場において、跛行牛は発情兆候が弱いと考えられていますが、跛行は発情そのものの発生割合よりも、発情のタイミングと行動を変化させるとしている研究があります。ある試験では、中程度の跛行牛は実際には早期排卵が起きていて、正常牛に比べて発情兆候を示すのが遅いという結果が出ました。空胎日数が1日延長することによる経済損失は、アメリカでは$2〜$6/日に上ります。
跛行はまた、淘汰率の増加にも関係します。ロコモーションスコアが3の牛は、正常牛に比べて8.4倍淘汰の危険性が高いことが分かっています。2007年のNational Animal Health Monitoring Serviceの発表によると、一般的な農場において淘汰された牛の16%が跛行によるものであり、26%が繁殖不良によるものであるとされています。しかし、繁殖不良を理由として淘汰された牛たちの大部分が、実は跛行を原因とした繁殖不良であった可能性があります。
早期発見が、牛の肢蹄の問題解決の鍵である
農場において、跛行の早期発見の優先順位を高めることが、牛の健康状態の悪化と繁殖成績の低下を抑えるために重要です。農場内で、重度で痛みが強く、経済損失が大きい問題となる前に蹄病を識別することができるように、農場で働く従業員の方々にロコモーションスコアを活用してもらえるよう教育することをお奨めします。
ある研究では、跛行牛を5週間放置してから治療しても、治癒率はたったの25%に過ぎず、40%の可能性で淘汰されてしまったと報告しています。これに対して、跛行牛を発見してから1週間後に治療すると、治癒率は91%で、淘汰の可能性は18%しかありませんでした。この結果からも、跛行牛の早期発見と蹄病変の適切な識別が、繁殖成績の低下と淘汰の危険性を抑えるために重要であることがご理解頂けると思います。
積極的に跛行牛を発見する
跛行牛減少のために出来る農場内での実践的なプログラムとして、定期的に牛の肢を観察する時間を設けて牛を評価することと、定期的な削蹄を行うことが挙げられます。
さらに、アベイラ4に代表されるジンプロ・ミネラルを給与することも、跛行対策プログラムとして有効です。有機微量ミネラル市場において唯一の特性を持つ、ジンプロ社の亜鉛、マンガン、銅、コバルトの特別な組み合わせが、一般的に見られる蹄病の発生割合と重症度合いを低減させることが分かっています。
跛行の評価と予防のためのFirst Stepプログラムを用いて、乳牛の護蹄管理を行いましょう。跛行及びロコモーションスコア等に関するご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。
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