乳牛の移行期管理を成功させる栄養に関する5つのポイント
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乳牛の移行期管理を成功させる栄養に関する5つのポイント

ジェフ・ウェイヤーズ博士

ジンプロコーポレーション

分娩3週間前から分娩3週間後まで続く移行期は、乳牛にとって非常に重要であると同時に、様々な問題が起こる危険性の高い期間です。牛は分娩を迎えるだけでなく、分娩後には高品質の生乳を大量に生産することを期待されます。

移行期において、牛の免疫反応は低下し、採食量も25%ほど落ちることがあるとされています。この結果、泌乳期の乳量、乳質、繁殖といった生産性に負の影響を及ぼします。それだけでなく、泌乳期に跛行問題が増加や、早期淘汰の危険性が高まる場合もあります。

バランスのとれた飼料設計によって、高品質の乳生産を行う準備をしながら、分娩後に起こり得る代謝疾患を減らすことを目標にしましょう。乳牛の移行期管理を成功させるためには、5つの栄養学的なポイントがあります:

  • 微量ミネラル
  • エネルギー
  • マクロミネラル
  • ビタミン
  • タンパク質

 

移行期牛の成績に微量ミネラルが影響を及ぼす

消化器官、子宮、乳腺、蹄の健康状態に影響を及ぼす上皮細胞の健全性を維持、改善していくために、微量ミネラルは重要な役割を担っています。ジンプロ社が行った微量ミネラルに関する試験によって、アベイラ4(アベイラ由来の亜鉛/銅/マンガン、コバルト)を給与することによって飼料効率が改善し、乳タンパク質および乳脂肪の生産が増えることが判明しています。別の試験では、アベイラ4の給与によって分娩後の代謝障害が減少することも報告されており、体細胞数も減少しました。体細胞数が減少するということは、乳量と乳質も改善されることを意味します。アベイラ亜鉛由来の亜鉛を給与することで腸の健全性が改善され、炎症をコントロールすることも研究から分かっています。

 

乳生産にはエネルギーが必須

分娩後、乳牛は1日に摂取するエネルギー量が要求量を満たさない状態である負のエネルギーバランスに陥ります。牛は子牛を正常に分娩するためだけでなく、立ち上がる、歩き回る、餌を食べる、産乳する、子宮を回復させるといった全ての行動のために十分なエネルギーを必要とします。

周産期におけるエネルギー管理は非常に難しいです。分娩21日前では、まだルーメンが大量のスターチを消化できるようになっていません。しかし、分娩後に泌乳を開始するためには、エネルギーとスターチが必要です。従って、少しずつスターチを給与していくことが求められます。消化性の高い高品質の粗飼料を給与しながら、必要に応じてバイパス油脂を給与することもエネルギー摂取量を増やす上での検討事項になります。スターチ摂取量が問題になっている場合、シトラスパルプやビートパルプ、綿実といった飼料の給与は安全性が高いとされています。

 

マクロミネラル、ビタミン、タンパク質

乳牛の栄養管理においては、カルシウム、リン、マグネシウム、カリウムが主要なマクロミネラルです。これらのマクロミネラルが乳生産と代謝性疾患予防の上でそれぞれ重要な役割を担っています。粗飼料由来のものを加味しながら、マクロミネラルは適切に設計を行わなければいけません。

移行期飼料においてビタミンは多くの働きがありますが、まずは欠乏しないように添加しましょう。乳牛の繁殖、免疫、成長を考える際、ビタミンA、D、Eの全てが様々な意味で重要となります。

移行期牛にとって、筋肉を育てて増体するためにタンパク質が必要です。さらに免疫機能にもタンパク質が影響を及ぼします。

 

クロースアップ飼料

クロースアップ期飼料として知られている分娩21日前からの期間に給与する飼料は、大量のスターチ消化にルーメン内細菌を慣れさせるために、飼料中に多くの穀物といくらかのスターチを取り入れています。これは、泌乳開始後に牛が食べるフレッシュ飼料により近い餌です。

この飼料は戦略的に設計しなければいけません。例えばDCAD(飼料中の陽イオン-陰イオン差)バランスの検討です。DCADバランスプログラムを上手に行う上で、カリウムの摂取量を最低限に抑えなければいけないために、粗飼料分析が非常に重要になります。

クロースアップ飼料でDCADをマイナスに傾けた飼料設計を行うには、飼料中のナトリウムとカリウムを最低限に留めることに加え、特定の飼料添加物を用いることでDCADを0から若干のマイナスにします。この飼料を給与することで、牛の血中の酸塩基平衡を変化させ、分娩時により多くのカルシウムを動員させることを促します。DCADバランスを負に傾けることで、乳熱といった代謝障害が発生する割合を減少させることができると報告されています。

ビタミン、微量ミネラル、マクロミネラルもクロースアップ期において非常に重要です。

 

移行期牛に適切な飼料を与えなかったら何が起きるのか

乾乳期に適切な飼料を与えられなかった移行期牛は、乳熱や胎盤停滞、ケトーシス、子宮炎といった代謝性疾患に罹患する可能性が高まります。この問題はさらに、治療のために外科的治療が必要になる場合がある第四胃変位をも引き起こす可能性があります。また、移行期に適切な飼料を摂取していなかった牛では、潜在的な疾患を有するものも増えてきます。これらの牛は臨床症状を示しませんが、乳量が減少していると考えられます。分娩後のスタートに失敗してしまった牛は、本来出すべきピーク乳量に到達することがなく、農場から早期に去ることになってしまうこともあります。

 

あなたの飼料設計にジンプロ・ミネラル

乳牛にとって、移行期は様々な問題が起こる可能性の高い期間です。牛がマクロミネラル、タンパク質、エネルギー、ビタミン、そしてジンプロ・ミネラル由来の微量ミネラルを十分な量摂取することができるように適切な飼料設計を行った移行期牛飼料を給与し、農場における成功を目指してください。移行期の栄養管理に成功すれば、分娩後の次の泌乳期において健康的な乳量、繁殖、蹄を通して高い生産性を目指すことができます。

アベイラ4などのジンプロ・ミネラルを移行期牛の栄養プログラムに組み込むことに関してのご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。