ジンプロ・ミネラルを用いて、子豚の生存率を高める
養豚業界で、大きな課題として子豚の生存率と全ての飼育ステージでの生産性が挙げられます。これらは多くの養豚生産現場において、特に問題の多い時期として考えられている授乳期において重要です。アメリカでは離乳前の斃死率は、平均約16%とばらつきが多く、改善の余地があります。
初乳を始めとした乳を生後24〜48時間以内に十分量摂取出来ないことが、子豚が斃死してしまう主な原因の1つです。栄養水準が下がるのに加えて、この時期の子豚は移行抗体量も減少し、免疫状態が悪くなります。それ故、授乳期の早い段階で弊死してしまう危険性が高いのです。
母豚への栄養給与は、次世代に影響を与える
試験から、分娩中の母豚にジンプロ・ミネラルを給与することで、給与した母豚の生産性が向上することが分かっています、また産まれてくる子豚の免疫機能が向上し、離乳時体重と出荷時体重が増加することで、ジンプロ・ミネラルの効果が次世代にも影響を与えることも分かっています。
ジンプロ社では、母豚栄養における微量ミネラルの効果と、初乳成分及び子豚の離乳時体重への影響を評価するために試験を行いました。40頭の母豚を無作為に2つの給与処理区に振り分け、それぞれの飼料を分娩期と授乳期を通して給与し続けました。
無機微量ミネラル区:無機微量ミネラル由来の亜鉛、マンガン、銅をそれぞれ110ppm、40ppm、15ppm給与
アベイラサウ区:無機微量ミネラル由来の亜鉛、マンガン、銅をそれぞれ60ppm、20ppm、5ppm+アベイラサウ由来の有機亜鉛、有機マンガン、有機銅をそれぞれ50ppm、20ppm、10ppm給与
ジンプロ・ミネラルでより強固な免疫反応を獲得できる
アベイラサウ区と無機微量ミネラル区を比較すると、初乳中のIgG量が増加し(アベイラサウ区:52.0mg/ml、無機微量ミネラル区:41.7mg/ml)、子豚血清中へのIgGの移行量も増加(アベイラサウ区:43.6mg/ml、無機微量ミネラル区:40.6mg/ml)したことが試験から明らかになりました。初乳中及び子豚血清中のIgG濃度が高いことは、母豚から子豚への移行抗体量が多いことを意味しており、子豚がより強固な免疫システムを獲得することが出来るようになります。
ジンプロ・ミネラルで炎症を抑え、離乳時体重、出荷時体重を増大させる
アベイラサウ区と無機微量ミネラル区を比較すると、初乳中の体細胞数が有意に減少していることも明らかになりました(アベイラサウ区:6.90、無機微量ミネラル区:7.81 ※単位:Log)。この反応は、乳牛にジンプロ・ミネラルを給与した時にも同様にみられることが分かっています。
乳中の全身性炎症マーカーである、体細胞数が減少しているということは、母豚の全身性炎症を抑えることが出来ていると考えられます。母豚の炎症を抑えることで、より多くのエネルギーと栄養素を、炎症を抑えるためではなく、乳生産に用いることが出来るようになります。その結果、授乳期を通して乳量がより多くなり、一腹当たりの離乳時体重が有意に増加しました(アベイラサウ区:69.5kg、無機微量ミネラル区:61.7kg)。また、アベイラサウ区の母豚から生まれた各子豚の離乳時体重も増加しました。この結果は、授乳期母豚の採食量の増加がみられない時にも認められたことから、栄養素の配分が乳生産に向けられたことを示唆しています。
この結果は出荷時成績にどれくらい影響するのでしょうか?離乳後期の体重が1kg重いと、出荷時体重が3kg増加することが試験(Schinckel et al., 2009)から分かっています。もし、豚を113kg(250ポンド)まで育てるのであれば、離乳後期の子豚が1kg重い場合、出荷時体重まで約4日早く到達することが出来るでしょう。
まとめ:ジンプロ・ミネラルは生産性に好影響をもたらす
アベイラサウといったジンプロ・ミネラルは、より生産性の高い母豚を飼育するために役立ちます。ジンプロ・ミネラルを給与した母豚は、無機微量ミネラル給与の母豚と比較して、同量の飼料を与えられているのにも関わらず、
- より多くの抗体が子豚へ移行し、子豚が感染に対して、より強固な免疫反応を獲得することに役立ちます。
- 全身性の炎症を抑え、乳中体細胞数を減少させることが出来ます。それにより、分娩直後の子豚にとって唯一の栄養源である乳をより多く生産することが出来、結果として離乳時体重が増加します。
- 離乳時体重が増加することで、豚がより効率的に出荷の基準体重まで達することが出来、その結果仕上げ期の飼育期間が短くなります。
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