豚における抗生物質使用を抑える方法
養豚業界では、抗生物質は成長促進と病気の治療と予防の2つの違う目的で利用されています。養豚業界が豚における抗生物質使用を削減し始めたのにも大きく2つの理由があります。それは、アメリカにおいて獣医飼料指示書(VFD)に準拠するためと、抗生物質を用いずに育てられた豚肉に対する消費者の需要を満たすためです。
かつては、豚への抗生物質は世界全体の病原体量を減らすために治療量以下で投与されていました。それにより、罹患率と斃死率が低下するというメリットに加えて、成長が向上する意図せぬメリットを得ることが出来ました。
アメリカでは、2017年に発効された獣医飼料指示書(VFD)によって、ヒトの医学上重要な抗生物質を動物に治療量以下で使用することが出来なくなりました。獣医飼料指示書は、ヒトと動物において急増している薬剤耐性菌の脅威を抑えることを目的として導入されました。
また、抗生物質使用量は、抗生物質不使用の高価な豚肉を望んでいる消費者層があるため、消費者の需要によっても影響を受けます。
豚に対する抗生物質の使用量が減少を続ける一方で、生産者は成長成績の顕著な低下や疾病感染の増加、そのほかの健康問題を抱えることになりました。さらに、以前は制御出来ていた農場固有の細菌感染症の再流行も見られました。例えば、ローソニア・イントラセルラリスは一般的に肥育初期から中期にかけて発症すると考えられています。しかし、利用可能な特定の抗生物質の使用を減らすまたは中止することで、離乳期においても発症が確認され始めています。
豚に対して抗生物質は未だ使用されている
養豚生産者は、獣医飼料指示書が発効されて以来、抗生物質の使用に関してより慎重になっていますが、現在でも特定の生産ステージにおいて特定の病原体を標的として治療量の抗生物質が使用されています。また、豚がストレス環境下で、特定の疾病に感染した場合、治療のために抗生物質を使用します。
例えば、従来の生産システムでは、離乳期や離乳前後に離乳ストレスによって引き起こされる疾病を防ぐために、抗生物質は使用されるでしょう。例え抗生物質不使用の飼養システムであっても、病気となってしまった豚を飼養するために抗生物質を使わなくてはならない場合、その豚を通常の生産システムに戻すことになり、その豚は抗生物質不使用として販売することは出来ません。
豚に対して抗生物質を適正に使用するための5つの方法
治療濃度での抗生物質の利用が豚の健康にとって最善の場合は使用すべきですが、出来る限り使用を減らすことも最善の方法です。ここでは、豚に対する抗生物質を適正に使用するための5つの方法をご紹介します。
- バイオセキュリティーを適切に管理して下さい。豚舎から豚を移動させた後及び、豚を導入する前に適切に洗浄、消毒、乾燥を行って下さい。それによって、導入豚がまだ感染したことのない細菌や病原体に暴露されることを防ぐことが出来ます。豚舎から移動した豚の健康状態と同じような豚群を離乳舎や育成舎から導入する様にして下さい。
- 飼料と運搬トラックのバイオセキュリティーを管理して下さい。飼料が農場内で病気を蔓延させる要因とならない様にして下さい。病気の発生は、病気が発生している離乳舎や肥育舎からトラックが飼料を週末に運搬してきた時など、緊急時に起こることがあります。
- ストレスを管理して下さい。豚舎の換気と空気の入れ替え、舎内温度を適切に管理し、豚の体温を快適に保ち、余計なストレスを与えない様にして下さい。
- 適切なワクチネーションプログラムを実践して下さい。ワクチン接種の時期が正しいか確認して下さい。
- ジンプロ・ミネラルを飼料中に添加して下さい。栄養素が高く、高品質な飼料は、豚の生産上の多くの問題を防いでくれるでしょう。ジンプロ・ミネラル由来の亜鉛を酸化亜鉛と硫酸銅に上乗せ添加することが、豚が感染に対して強固で迅速な免疫反応を獲得するのに役立ちます。更に、抗生物質不使用時において成長と生産性の向上を促進してくれるでしょう。私たちは、豚の栄養飼料プログラムにおいて、アベイラ亜鉛由来の亜鉛50ppmで無機亜鉛を等量置換して給与することを推奨しております。
豚の健康を向上させ、抗生物質の使用を減らす
皆様の農場においての抗生物質の使用時期、またその方法に関しては、皆様の管理獣医師の方にお問い合わせ下さい。
抗生物質不使用システムにおいて、ジンプロ・ミネラルが豚の免疫反応や成長、生産性をどの様に向上させるのかに関してのご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。