肉牛の栄養における、ジンプロ・ミネラル通年給与の重要性
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肉牛の栄養における、ジンプロ・ミネラル通年給与の重要性

ジェイソン・ラッセル博士

ジンプロコーポレーション

多くの生産者の方々には、一年間を通して全ての飼養ステージでジンプロ・ミネラルを栄養プログラムに組み込むことの価値を理解して頂いていると思います。しかし、これらの必須栄養素を、放牧等の関係で一年の特定の時期に給与されない方もいます。また、配合飼料のみで動物の要求量を全て賄えて、残りは塩を添加するだけで良いと認識をされている方もいます。

しかし、肉牛が真に成長し、潜在能力を最大限に発揮するためには、必須栄養素である微量ミネラルを適切に全ての飼養ステージを通して給与するべきであるという事実は変わりません。肉牛は一生に亘って様々な健康問題に直面するのです。

 

なぜジンプロ・ミネラルを通年給与しないのか

一部の生産者では、放牧や飼養エリアが広大であることによって、栄養プログラムに組み込まれているジンプロ・ミネラルを給与出来なくなる問題が存在します。これらの問題は、牛を広範囲で放牧する事で給与が難しくなる夏の時期に起こりやすいですが、給与することは不可能ではありません。

生産者が乾草ベール製造に取り掛かる1年の中で最も多忙な時期は、牛舎やフィーダーの方に行っても微量ミネラルの添加を忘れてしまうことがあります。単純に思われるかもしれませんが、一番簡単な方法は、微量ミネラル添加の仕事を特定の1人に割り当てることです。

放牧地のフィーダーが空になっているときに、倉庫内の微量ミネラルが利用でき、また電話ですぐに連絡が取れるようになるので、誤伝達を防ぐことが出来るでしょう。

胎児は、微量ミネラルの摂取を母体に依存しています。マンガンといった微量ミネラルを妊娠期に給与しなかった母牛から生まれた子牛では、骨格に障害や奇形を持つ確率が高いことが試験から分かっています。

母牛が適切な微量ミネラルを給与されなければ、その母牛の初乳品質が低下することも試験から分かっています。初乳は子牛が受動免疫を生後早期に獲得するための唯一の供給源ですので、初乳品質の低下は非常に重大な問題です。

生産者の中には、ジンプロ・ミネラル等の微量ミネラルを繁殖の為だけに必要であると捉えている方もいます。そのため、微量ミネラルを繁殖期に入る母牛のみに給与し、妊娠が確認出来たら給与を止めてしまう方もいるため、妊娠初期から中期にかけては最も忘れられている時期です。

 

ジンプロ・ミネラルは全ての飼養ステージにおいて重要である

肉牛栄養プログラムにジンプロ・ミネラルを組み込むことは、出生前も含め全ての飼養ステージにおいて重要です。強固な免疫反応を獲得する能力を向上させることで、より多くの栄養素やエネルギーを成長や生産、繁殖に用いる事が出来る様になります。

分娩前3ヶ月間に亘り、妊娠期の栄養プログラムにアベイラ4を添加する事で、その子牛に出生前から必須微量ミネラルを供給出来るということが、オレゴン州立大学の試験から分かりました。離乳期子牛において、常乳や初乳では十分に微量ミネラルを供給できないため、特に重要です。

また分娩前3ヶ月間に亘り、アベイラ4を給与した母牛から生まれた子牛は、離乳時体重が24kg増加した事が試験から分かりました。

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更に、素牛導入から28日間の飼い慣らし期間にアベイラ4を給与すると、斃死数が45%減少し、平均日増体量が9〜13%増加しました。また、肥育前期にアベイラ4を、仕上げ期にアベイラ亜鉛を給与する事で、平均日増体量が6%増加し、飼料要求率が4%改善しました。更に、ジンプロ・ミネラルを給与する事で趾間フレグモーネの発症数が30~57%減少したことも明らかになりました。

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ジンプロ・ミネラル給与が肉牛の繁殖成績に好影響を与えることも試験から明らかになりました。雄牛にアベイラ4を給与することで精子の運動率が向上し、母牛に給与することでは、受胎率が14%以上も向上しました。

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ジンプロ・ミネラル給与による改善効果を数値化して把握する

1年間を通して全ての飼養ステージでのジンプロ・ミネラル給与が、どれだけ肉牛の栄養状態の改善に貢献しているのかを理解することはとても重要です。そのためには、離乳時体重や日増体量等の成績を数値化して知ることが必要であると考えます。

離乳時体重が24kg増加、斃死数が45%減少、平均日増体量が6%増加、受胎率が14%上昇といったこれら全ての改善が農場の収益に好影響をもたらすでしょう。結果として、ジンプロ・ミネラルは確かな投資に対する利益をもたらします。一年間通して全ての飼養ステージでのジンプロ・ミネラル給与は、農場の収益を更に増加させることに貢献するでしょう。

肉牛へのジンプロ・ミネラル添加の重要性に関しては弊社HPをご覧になるか、弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

 

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