受胎の遅れは肉用繁殖牛に負の影響を及ぼす
ジェイソン・ラッセル博士
ジンプロコーポレーション
*これはアメリカにおける季節繁殖農場の事例です。日本とアメリカにおける繁殖農場の形態の違いに関しましては、こちらをご覧下さい。
日本とアメリカの繁殖農場における飼養形態の違い
繁殖農場において繁殖成績向上のためには、初産牛の分娩後、早期に再び受胎させることが重要です。初産牛の受胎が牛群内の他の母牛よりも遅れると、生涯に亘って繁殖性に負の影響を及ぼし続けます。
生涯に亘る分娩の遅れ
母牛が子牛を分娩後、発情回帰までには時間がかかります。ある初産牛の受胎が農場内の他の牛に比べて21日以上遅れると、この牛の2産目の分娩後の発情回帰も遅れ、生涯に亘って分娩が遅くなってしまう可能性が高まります。
子牛の離乳時体重の低下
アメリカでは多くの繁殖農場で、子牛を一斉に離乳させます。そうすると、分娩が他の牛よりも21日遅かった母牛の子牛は、離乳時点で日齢が若く、体重が軽くなります。1日増体量を0.9kgと想定すると、離乳時に他の子牛より19kgも体重が軽いということです。
農場の長命連産性の低下
アメリカ食用動物研究所(USMARC)とサウスダコタ州立大学(SDSU)が行った試験では、季節繁殖における最初の分娩期21日間に分娩した初産牛は、次の21日周期以降に分娩した初産牛に比べて長命性が高いことが分かりました。USMARCの農場では、2回目の21日周期に分娩した初産牛は平均在群率が7%低下し、3回目の21日周期に分娩した牛は12%も低下しました。SDSUの農場では2回目以降の21日周期に分娩した初産牛の在群率が24%も低下しました。
母牛の収益性の低下
経済性は地域によって異なりますが、繁殖農場の後継候補牛が自身の育成費を回収して利益を上げていくためには、1頭の母牛が最低でも3〜5頭の子牛を生産しなければならないことが研究から判明しています。農場で遺伝能力の高い母牛の選抜を進めていくためには淘汰も必要ですが、最初の授精時期21日間で受胎しなかった初産牛は子牛の離乳時体重や長命性を損なうことから、経済損失を生んでしまう可能性があります。
ジンプロ・ミネラル給与で期待される母牛の繁殖成績向上
肉牛農場では、母牛を1年1産させることが重要です。母牛の生涯に亘る生産性を考えると、より収益性が高く、繁殖効率の良い牛を飼養しなければなりません。その上で、発情回帰を早めるためにできることは何でもやらなければいけません。
フロリダ大学の放牧牛研究教育センターが3歳もしくは4歳の牛にアベイラ4を給与する試験を行いました。その結果、無機ミネラルを給与した牛と比べて、妊娠率が高まり、分娩間隔が短縮しました。3年間に亘って、アベイラ4を給与した牛は無機ミネラルを給与した牛に比べて、平均で妊娠率が18%も高いという結果でした。また、同じく3年間に亘ってアベイラ4を給与した牛は分娩間隔が平均で16日短縮されました。
牛の早期発育ステージからジンプロ・ミネラルを給与することが大切です。若齢の初産、2産の母牛は成牛に比べて生産ストレスが大きいことにご注意ください。まだ体が成長しているこの月齢からの微量ミネラル給与への反応は、より明確になる場合が多いです。
アベイラ4といったジンプロ・ミネラルが母牛の繁殖成績を向上させることについての詳細は、弊社営業員にお問い合わせください。
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