家畜、家禽生産におけるマイコトキシン(カビ毒)制御
Share

家畜、家禽生産におけるマイコトキシン(カビ毒)制御

フー・マコノキー博士

ジンプロコーポレーション

マイコトキシン(カビ毒)は家畜、家禽の健康や生産性に悪影響を及ぼすことが知られています。その影響は急性疾患から慢性疾患まで多岐にわたり、さらには成長パターンの変化、生産及び繁殖効率の低下、他の感染症への感受性の上昇までに及びます。

アメリカにおいて、マイコトキシンを抑えるために掛かる費用は年間で約533億円(4億6600万ドル)、マイコトキシンによる生産損失は年間で約6億8650万円(600万ドル)にものぼると試算されています(CAST, 2003)。

 

マイコトキシンの知られていない側面

マイコトキシンが、飼料摂取量や増体率、泌乳量、繁殖に悪影響を及ぼす一方で、その他の要因もこれらの生産指標に同様の悪影響を及ぼすことがあります。例えば、飼料にカビが生えていただけでは、マイコトキシンに汚染されているとは限りません。一方で、カビが生えていない場合でも、マイコトキシンが存在していないとは限りません。

マイコトキシンに最も汚染されやすい飼料原料は、全粒綿実と穀物サイレージ、トウモロコシ、蒸留粕のようなトウモロコシ副産物です。蒸留粕は興味深いことに、デンプンをトウモロコシの穀粒から抽出する過程ではマイコトキシンは除去されません。なぜなら、マイコトキシンは穀粒に付着しているからです。この場合、60〜70%のデンプンを除去することで、蒸留粕中のマイコトキシンの濃度が濃縮されてしまいます。概算ですが、蒸留粕中のマイコトキシン量はデンプンを抽出することで、トウモロコシ単体の場合と比較して3倍まで濃縮されます。

そのため、飼料原料を検査しマイコトキシン制御のための対策を講じることがますます重要となってくるでしょう。

そこで、私たちは栄養専門家や生産者に対して、新しい穀物飼料原料が農場で収穫及び、搬入される毎に検査をすることを推奨しています。更に、マイコトキシン検査施設の多くは、収穫期に見られるマイコトキシン汚染に関する情報を積極的に公表しています。

 

飼料中のマイコトキシンは、ミネラル要求量を増加させる

アフラトキシン(AF)やデオキシニバレノール(DON)、フモニシン(FUM)は腸管上皮組織の損傷を引き起こします。損傷により、必須ミネラルなどの栄養素の吸収率が低下し、マイコトキシン存在下ではミネラルの要求量が増加してしまいます。損傷した細胞膜の修復やマイコトキシンによって引き起こされる酸化ストレスを抑えるためには亜鉛やマンガン、銅、セレンの給与が必要です。即ち、飼料中のマイコトキシンは、特に亜鉛やマンガン、セレンなどの抗酸化に必要なミネラルの要求量を増加させます。

 

飼料中のマイコトキシンを制御する方法

皆様の飼料原料中にマイコトキシンが検出された場合に取るべき選択肢が3つあります。

選択肢1 汚染された飼料原料を廃棄する。これが“理想”の選択肢です。この選択肢の問題としては、飼料原料を廃棄する選択を取ることは実際には少ないことと、更にマイコトキシンに汚染されていない清潔な飼料原料を見つけ出すことが出来ない場合が非常に多いということです。

選択肢2 汚染された飼料原料の割合を減らす。この選択肢では、マイコトキシン汚染を許容レベルまで低下させるため、汚染された飼料原料と清潔な飼料原料が混ざることになります。しかし、見落とされ易いですが、マイコトキシンは非常に低量であっても、動物の免疫や健康に悪影響与えます。

選択肢3 – 飼料汚染を抑えるために科学的に実証されたカビ毒吸着剤を使用する。カビ毒吸着剤を汚染された飼料に添加して下さい。吸着剤はマイコトキシンと結合して、不活化させることで吸収されることを防ぎます。しかし、良い反応を得るために選択肢3の一部として選択肢2を実施する必要があるかもしれません。

 

マイコトキシン制御

マイコトキシン制御の最善策は、製造時にマイコトキシンによって飼料が汚染されない様に防ぐことです。状況によっては、真菌病を引き起こす干ばつや降水量の多い時期は避けることが出来ません。しかし、作物の栽培管理によって、マイコトキシン量を減らすことが出来ます。その中で重視すべき項目は、土壌管理や輪作、品種選定、殺菌剤の散布、貯蔵時の土壌汚染の予防です。更に、サイレージの管理も同様に重要です。従って、サイレージ調整時やラッピング時に十分に圧縮し清潔状態を保つ様にして下さい。

 

吸着剤がミネラルの有効性に影響をあたえる

カビ毒吸着剤がマイコトキシン制御に効果的である一方で、一部のカビ毒吸着剤は微量ミネラルと結合し、吸収や代謝に利用出来なくする製品も存在します。

これを防ぐためには、ジンプロ・ミネラルを添加することが1つの方法です。ジンプロ・ミネラルは、微量ミネラルとアミノ酸が1:1で結合しており、その結果安定性と吸収性が最大限に高められています。この微量ミネラルとアミノ酸の1:1結合はカビ毒吸着剤の影響を受け難いため、微量ミネラルの吸収と代謝が向上します。

 

ご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

(為替は2022年1月時点)

 

関連記事:
ジンプロ・ミネラル: 唯一無二の製品
無機微量ミネラルと有機微量ミネラル、ジンプロ・ミネラルの違い