子牛のために最良な初乳を生産できるよう母牛を管理する
肉用子牛を後継牛として育てるにしても、肥育農場に素牛として出荷するために育てるにしても、ジンプロ社の提唱するライフタイムパフォーマンスは子牛が生まれた1日目から影響を及ぼします。子牛を健全に育てる上で、初乳が非常に重要な役割を担っていることは、疑うところがありません。子牛は免疫を持たない状態で生まれてきます。そこで、子牛は最初に摂取する栄養源としても、免疫機能による体の保護も、初乳に依存しています。初乳中の免疫グロブリン(IgG)は子牛が出生後12〜24時間以内において消化管を通過することができ、子牛の獲得免疫が確立される前に免疫力を備えることができます。
数十年に亘って肉牛業界では新生子牛に適切なタイミングで初乳を摂取させることの重要性を強調してきました。しかし強調されるのはそれだけです。初乳品質についてはどうでしょうか?子牛が初乳の1滴1滴からIgGを最大限に摂取できているかどのように確認しているのでしょうか?大学の公開講座を経験したことで、生産者の方々との会話における別の視点を見つけることができました。それは、初乳摂取のタイミングに注力するのではなく、初乳の品質について話すことでした。生産者の皆様が子牛の健康状態全体を高める目的で初乳品質を向上させるには、母牛の管理が重要であることを伝えます。これは子牛が生まれる前からの話です。初乳品質は様々な要因の影響を受けます。
- 子牛が初乳を摂取するタイミング
- 母牛の品種と月齢が免疫グロブリンと初乳生産量に影響を及ぼす
- ワクチンの接種状態:管理獣医師と検討
- 栄養と有機微量ミネラル:適切な栄養素、エネルギー濃度、タンパク質、有機微量ミネラルの摂取が母牛の初乳品質に影響を与える最も重要な役割を担っている
必要なものを生産してもらうために母牛に頼る
酪農生産者は分娩ごとに初乳品質を測定しており、必要に応じて初乳製剤を利用することもあります。しかし肉牛生産者は初乳や乳質全体を測定することが困難です。母牛が子牛にとって必要な乳を生産し提供していると信じるしかありません。母牛に頑張ってもらうためには、妊娠が成立した時点から必要な栄養をしっかりと供給することが大切です。胎児を育み、そして分娩後も子牛の健康状態を良好に維持するために品質の高い初乳と生乳を生産するために良質な栄養摂取は欠かせません。妊娠期全てを通して強固な栄養プログラムを確立する上で、微量ミネラルにもご着目ください。母牛が分娩後最初の24時間で初乳を生産するだけでなく、その後も品質の高い生乳によって子牛を育む姿を自信を持って見ることができるでしょう。
高品質初乳と健康な子牛のために、母牛に良質飼料を与える
優れた微量ミネラルプログラムを用いることは、高品質な初乳を生産するための鍵であり、当て推量を排除できます。初乳生産に最も大きな影響を及ぼすのは妊娠後期の管理です。しかし短期間で微量ミネラル不足を解消することは難しいことから、微量ミネラルを通年給与することが農場経営を良好に推移させるために推奨されています。飼料全体において適切な栄養管理と微量ミネラル給与を母牛に行い、ボディコンディションスコアが4から6で分娩を迎えるようにしましょう。初乳中のIgGを高める上で、この範囲のボディコンディションスコアがベストです。
初乳の重要な役割を知るために、ジンプロ社は数多くの試験を行なっています。ジンプロ・ミネラルを繁殖母牛に給与したところ、初乳中のIgGが28%向上しました。母牛から大量のIgGを受け取った子牛は疾病罹患率が低く、呼吸器性疾患と下痢が減少しました。
ジンプロ・ミネラルを含んだ完全な有機微量ミネラルプログラムを与えることで、全体の乳質が改善され、この好影響は子牛の一生に及んでいきます。初乳は全乳へと移行していきますが、子牛の体内ではIgGが残って子牛の消化器官の健全性向上に寄与します。母牛が高品質な初乳を生産できるように投資することで、子牛の生涯に亘る生産性の向上が期待でき、農場全体の生産性を上げていくことができるのです。
ジンプロ・ミネラルを給与することで初乳中のIgGが増加することが複数の試験から示されています。
農場の繁殖母牛が最高品質の初乳を生産できるようにすることは、収益性を向上させるために重要です。妊娠期の栄養に注力することで、子牛が生まれたその日から最高のライフタイムパフォーマンスを発揮できる母牛の状態を作ることができる自信をくれます。
肉牛の全ステージにおけるライフタイムパフォーマンスの詳細について、弊社HPをご覧ください。ジンプロの肉牛学術研究員は、皆様とお仕事をさせて頂くことを楽しみにしています。本記事に関するご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせください。
関連記事
ジンプロ・ミネラルによる、肉牛におけるライフタイムパフォーマンスの達成
肉牛のライフタイムパフォーマンスのベースとなる5つの主な利点