ジンプロ・ミネラルによる卵殻品質と孵化率の向上
レオナルド・リナレス博士
ジンプロコーポレーション
ブロイラー鶏の一生において、卵殻は最初の防御機構です。卵殻の最も重要な機能の一つが、有害細菌の卵内への侵入による胚の感染を防ぐことです。したがって、ブロイラー種鶏は強固な卵殻と均一なクチクラ層を持つ種卵を生産しなければなりません。
適切な飼養管理とジンプロ・ミネラルの使用によって、生産者は卵殻品質を向上させ、結果として、孵化率、雛質、雛の育成率を高めることができます。
卵殻品質の重要性
卵がブロイラー種鶏の総排泄腔を通過する時、特に有害細菌に感染して下痢のような消化器疾患を呈している種鶏では、卵内への細菌汚染が容易に起こります。卵殻が厚い卵は、胚への細菌感染を防ぐことができます。クチクラは産卵前に分泌され、卵殻の気孔を塞ぎ、細菌の卵内への侵入を防ぎます。
種卵は、産卵後3〜15日が経過してから孵卵器に入れられます。その間、種卵は低温状態に置かれますが、熱やガス交換による過剰な水分の損失を避けることが重要です。また、卵殻が非常に薄い場合、水分損失のために胚が脱水状態となり、胚の死滅率が高まります。
さらに、良好な卵殻品質は、卵殻中の栄養成分やミネラルの卵黄への移行に重要です。これによって、胚の骨形成は向上します。
卵殻品質を低下させる要因
栄養不足に加え、疾病や環境ストレス等の要因により、卵殻品質や孵化率が低下します。暑熱ストレスを受けると、飲水量が増加し、腸管内通過速度が高まり、栄養吸収時間が短くなります。結果として、品質の高い卵を生産するために必要な栄養素量が低下します。
遺伝的要因も卵殻品質に影響します。ある遺伝系列の鶏は、他系列鶏よりも卵殻の厚い卵を生産することがあります。他の重要な要因として、日齢があります。日齢の進んだ種鶏は、若い種鶏よりも卵殻の薄い、大きな卵を生産します。
卵殻品質及び雛の育成率を向上させる5つの要素
- ウイルス感染から種鶏を守るためにワクチン接種プログラムを実践する。結果的に、卵殻品質あるいは胚の感染に影響します。
- 種鶏の骨品質を高める。鶏は、卵殻形成に必要なカルシウム、リン等のミネラルを骨に依存しています。
- 脱水や健康上のリスクを避けるために、清潔、高品質な水を充分量給与する。例えば、硬水は、飼料中の幾つかのミネラルと相互作用し、小腸からの吸収を妨げることがあります。
- あらゆるストレス要因を取り除く。鶏が、暑熱ストレスのようなストレスを受けると、十分量のミネラルや他栄養素を卵殻や胚に移行させることが難しくなり、胚死滅率が高まります。
ジンプロ・ミネラルを含む高品質の飼料を十分量給与する。これにより、ミネラルや他栄養素が適切に吸収され、卵殻や胚に移行されます。
卵殻品質と孵化率を高めるジンプロ・ミネラル
査読済み研究論文において、卵殻品質と孵化率に対する微量ミネラルの数多くの利点が報告されています。亜鉛とマンガンは卵殻形成に必須であり、銅は卵殻膜のような結合組織の構造強度や弾力性を向上させます。また、これらの微量ミネラルは骨強度も高めます。
幾つかの試験結果から、ブロイラー種鶏へのアベイラ亜鉛と硫酸亜鉛の併用給与により、硫酸亜鉛単独給与よりも、ひび割れ卵の割合が1.4%低下し、孵化率が1.8%向上することが示されています。
ブロイラー種鶏へのアベイラZMC(ペプチド亜鉛、ペプチドマンガン及びペプチド銅の混合製品)の給与により、硫酸塩のみの給与よりも、卵殻重量が2.3%重く、卵殻が1%厚い種卵が生産されました。
ジンプロ・ミネラルは、受精卵の孵化率も向上させます。アベイラZMC等量置換給与により(ある量の硫酸塩をアベイラZMC由来の亜鉛、マンガン及び銅で置き換え、亜鉛、マンガン及び銅の総量としては同じ)、硫酸塩のみの給与よりも、受精卵の孵化率が3.4%向上しました。
卵殻品質は、胚初期における防御、発達及び生存性に重要です。ジンプロ・ミネラルによって栄養価をしっかりと高められた飼料は、卵殻品質と孵化率を向上させ、高品質の雛の生産に貢献します。
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