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ジンプロ・ミネラルを用いた、水産生物養殖時のストレス管理

ジンプロ・ミネラルを用いた、水産生物養殖時のストレス管理

クラウディア・シルヴァ博士

ジンプロコーポレーション

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ストレスは他の動物種と同じで、水産生物の養殖現場においても、多大な影響を及ぼします。水産生物がストレスに晒された時、その要因に関わらず、余分なエネルギーと栄養素を、ストレスや、それにより引き起こされる炎症を抑えるために消費することがよくみられます。これにより、成長や生産性へ利用されるエネルギー量と栄養素量が減少し、最終的に出荷時体重の減少に繋がります。

水産生物においてよく見られるストレス要因の1つが、高い飼育密度です。飼育密度が高いと、魚が皮膚病変を負ったり、怪我をしやすくなり、疾病の原因となる細菌や病原体による感染を引き起こします。

水質の悪化、または水温や塩分濃度の急激な変化などの環境要因もストレスになります。

 

水質は水産生物の養殖現場で重要である

水質は、水産生物の養殖現場において最重要課題の1つです。もし酸素量が適切でなければ、酸素利用が制限されるため、ストレス状態となります。そして、遊泳行動や摂食行動、栄養代謝に悪影響が生じ、最終的に成長が制限されてしまいます。

水産生物は、水温や塩分濃度の変化といった環境ストレス要因に晒されると、免疫能力が低下し、病原体への抵抗性が低下します。

水温や塩分濃度の変化は、養殖エビに対して、成長や脱皮、生存性に多大な影響を及ぼします。バナメイエビを低塩分濃度環境に移動すると、自然免疫の重要なマーカーである、血球数が減少し、フェノールオキシダーゼ活性及び活性酸素産生能、スーパーオキシドディスムターゼ活性の低下を引き起こします。

水温の上昇も代謝ストレスを引き起こし、変温動物である魚類に深刻な被害を与えることがあります。水温が上昇することで、酸素消費量が増加し、酸化還元に関連するバイオマーカーや、魚の酸化還元恒常性に影響を及ぼすことがあります。

 

ジンプロ・ミネラルを用いて、水産生物の栄養素を最大限に活用する

魚は、活性酸素による損傷に対抗するための、酵素的及び非酵素的な抗酸化防御能の両方を有しています。スーパーオキシドディスムターゼやグルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼといった抗酸化酵素は、フリーラジカルを除去し、体内の酵素による抗酸化防御に寄与しています。

これらの酵素が正常に作用するためには、セレンや鉄、銅、亜鉛、マンガンといった微量ミネラルを必要とします。これらの微量ミネラルの摂取が不十分だと、抗酸化防御能の効果が失われることがあります。ヨーロピアンシーバスにおいてジンプロ・ミネラルを等量置換給与すると、グルタチオンペルオキシダーゼ活性が優位に上昇しました。このことは、ヨーロピアンシーバスにおいて、ジンプロ・ミネラル(特にセレン:アベイラセレンvsセレナイト)が抗酸化活性の維持に、より効果があることを示唆しています。

日本ではアベイラセレンの取り扱いはありません。

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ジンプロ・ミネラルを水産生物の栄養プログラムに組み込むことで、抗酸化機能を改善するだけでなく、自然免疫と適応免疫の反応改善にも役立ちます。生育成績を最大限に引き出し、水産生物のストレス軽減能力を高める機能性飼料を、栄養プログラムに組み込むことが非常に重要です。エビ飼料中の亜鉛源を、無機亜鉛からアベイラ亜鉛に置き換えることで、8週間後の体重が5%以上増加したことが試験より明らかになりました。無機亜鉛をアベイラ亜鉛、無機セレンをアベイラセレンに置き換えることで、共にエビの免疫反応の重要マーカーである血球数が増加し、フェノールオキシダーゼ活性が上昇しました。

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もう1つの重要な成長指標が斃死です。無機微量ミネラル源をジンプロ・ミネラルで部分置換して給与すると、ビブリオ菌に感染して7日後の累積斃死率が約20%低下したことが、試験から分かりました。無機微量ミネラル源をジンプロ・ミネラルで完全置換することで、斃死率はさらに低下しました。

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ジンプロ・ミネラルを用いた機能性飼料は、水産生物において、疾病、ハンドリング、移動、ワクチン接種といったストレスの多い環境に対応する能力を高めることに寄与します。

 

ジンプロ・ミネラルは、水産生物の免疫反応を獲得する能力を向上させる

ジンプロ・ミネラルを用いることで、水産生物において、迅速かつ強固な免疫反応を獲得する能力を大幅に向上することができます。これにより、高い生育率や斃死数の減少、水産生物養殖全体の健全性向上に繋がります。

ジンプロ・ミネラルを用いた水産生物の栄養プログラムに関するご質問、ご相談は弊社営業担当者までご連絡下さい。

 

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