乳牛のケトーシスを管理する
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乳牛のケトーシスを管理する

ダリル・クラインシュミット博士

ジンプロコーポレーション

ケトーシスは乳牛において、一般的に分娩後2週間以内で発生する代謝性疾患です。分娩後、乳生産のための栄養要求量が大きく上がるのに対して、牛は生産を維持するための十分なエネルギーを摂取できないために、負のエネルギーバランスに陥ります。牛は体脂肪を動員して乳生産と分娩後の回復のためのエネルギーを維持します。その結果、血中の非エステル型脂肪酸(NEFA)が増え、ボディコンディションスコア(BCS)が低下します。NEFAが肝臓の代謝能力を超えてしまうと、ケトン体(部分的に酸化した脂肪酸)が過度に蓄積し、最終的にはケトーシスに陥ります。分娩前後の強い炎症も、ケトーシス発生の危険性を高めます。

臨床性のケトーシスを発症すると、ピーク乳量に悪影響を及ぼします。ピーク乳量が下がると、その泌乳期全体の総生産量も減少します。

ケトーシスに罹患した牛は、乾物摂取量が減少する場合があります。この結果、BCSの低下割合が大きくなり、繁殖成績にも負の影響を及ぼします。分娩後最初の5週間でBCSが0.5〜1.0低下した牛は、0.5まで低下しなかった牛に比べて空胎日数が16日延長することが研究から示されています。

 

泌乳牛群でケトーシスを発見する方法

ケトーシスの兆候は、重症で牛がその臨床症状を示しているのであれば、検査するまでもなく見つけることは容易です。重症の牛は、無気力な状態になります。餌を食べず、負のエネルギーバランス下で体脂肪動員を行っているのでごく短期間でBCSが低下します。搾乳日数30日以内にBCSが1.0ポイント以上失われることは、許容できません。

特に泌乳開始から最初の30日までにおける過度なBCSの低下は、負のエネルギーバランスの程度が酷いことを示しています。このような牛は、妊娠までにかかる日数が長くなり、泌乳持続性も低いことが分かっています。さらに、乳腺内で起きる感染性の疾患と戦う力も弱いために、乳質も低下しがちになります。

潜在性のケトーシスは、泌乳初期牛で一般的に起きやすいとされています。発見のためには、血液か乳汁のケトン体検査を用います。

臨床型のケトーシスとなる前に発見するため、アメリカの農場ではフレッシュ牛の管理作業手順に定期的な血液検査の実施を組み込むことが一般的です。血液検査によって、潜在性のケトーシスに陥っている牛の血中のケトン体濃度の上昇を発見することができます。グルコース(エネルギー)が欠乏すると、血中にケトン体が現れます。

 

ケトーシスの適切な管理方法

いくつかの栄養的な要因で牛のケトーシスによる負の影響を緩和する役割があることが確認されていますが、飼養管理がまず鍵になります。実際に、ケトン体濃度が高いにも関わらず、適切な管理によって生産性を失わない牛もいます。

農場において、ケトーシスによる負の流れを打ち破るための飼養管理について、下記をご検討ください:

1. 移行期牛群における過密飼養を防ぐ

農場規模が大きくなるに連れて、特に分娩頭数に波がある場合、過密飼養となる傾向があります。規模拡大に合わせて施設を増改築されていたとしても、移行期施設は頭数規模に見合っていない農場が多く見られます。

過密になると、ストレスが高まることと、牛1頭当りの飼槽スペースが物理的に小さくなってしまうことから、飼料摂取量が減少します。さらに過密環境下では牛が快適に横臥する時間に悪影響が及ぼされ、搾乳日数100日までの蹄病変形成の危険性も高まります。

2. 経産牛と初妊牛を同居させない

初妊牛は月齢が上の牛と同居することで、より強いストレスを受けます。この結果乾物摂取量が低下し、分娩後における負のエネルギーバランスの悪化に繋がる可能性があります。

3. 群移動の頻度を減らす

牛は群内で社会的序列を決める動物です。牛を今まで同居したことのある牛がいない新しい牛群に移動すると、余計なストレスがかかります。群移動を行う際には数頭のグループで移動し、知った仲の牛と過ごすことができるようにしてあげましょう。

4. 泌乳後期牛のBCSを測定する

泌乳後期牛群全体のBCSを測定し、乾乳する前に望ましい値に整えてあげることが理想です。一度乾乳してしまうと、分娩後に周産期疾病に罹患する危険を冒さずにBCSを矯正することが難しくなります。

 

ジンプロ・ミネラル:ケトーシス緩和プログラムの1つ

先述の通り、乳房炎由来でも跛行由来でも、どの様な健康問題由来であれ、炎症が発生するとグルコースを消費します。その結果、特にフレッシュ牛はすでに乾物摂取量が減少していることも合わさり、ケトーシスに陥ります。炎症をコントロールすることができれば、ケトーシスをコントロールできるとも言えます。

ジンプロ・ミネラルの給与によって、分娩時、そして移行期において頑強な免疫反応が期待できます。これは、炎症反応を改善し、ケトーシスの発生数と重症度合いを減らすことに繋がります。

腸の健全性を改善するために、亜鉛が重要です。牛の全身で見られる免疫機能の70%が腸に集中しているとされています。マンガンは糖新生のためにマンガンが必要であり、カルシウムの再吸収のためにも仕事を果たします。銅は免疫機能のために大切です。

糖新生のために必須であるビタミンB12の生成にコバルトが役割を担っています。クロム*は製品が認可されている国は限定されていますが、グルコース代謝とインスリン作用を含めた数多くの機能を働かせるために必要です。
*日本での取り扱いがございません

炎症をコントロールし、農場におけるケトーシスの影響を緩和するために、ジンプロ・ミネラルがお役に立ちます。

 

農場の管理状況を評価する

移行期牛向け飼料にジンプロ・ミネラルを混合することに加えて、農場で獣医師の指導のもと、フレッシュ牛のモニタリングプログラムを作ることをご検討ください。周産期の問題の全てを網羅し、予防方法を確立することを念頭に置いてください。

農場における移行期牛の管理プログラムを評価することもお奨めします。飼槽スペース、牛群変更、カウコンフォート、暑熱対策、乾乳前の削蹄プログラムなどをご確認ください。

移行期牛の栄養プログラムにジンプロ・ミネラルを混合することの詳細については、弊社営業担当者にご連絡ください。

 

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